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子どもの発熱・腹痛・頭痛・咳・湿疹の対処法をアドバイス。熱性けいれんの適切な対応や上手な解熱剤の使い方や夜間に症状が出た場合のお助けツールまで。怖い病気を早期発見するためには、お父さんお母さんの「気づき」がポイントに。|にこにこキッズクリニック|下岡武史 先生 | 病気や症状。治療や予防に役立つ 病院・医院・クリニック情報サイト『広島ドクターズ』
(この記事は2014年3月27日時点の情報です)

下岡武史 先生(小児科)

子どもの発熱・腹痛・頭痛・咳・湿疹。症状別にアドバイス

 
にこにこキッズクリニック
【住所 広島市安佐南区緑井5-29-18 緑井ゆめビル 1階
【TEL】 082-831-0415
 
子どもの発熱・腹痛・頭痛・咳・湿疹の対処法をアドバイス。熱性けいれんの適切な対応や上手な解熱剤の使い方や夜間に症状が出た場合のお助けツールまで。怖い病気を早期発見するためには、お父さんお母さんの「気づき」がポイントに。 にこにこキッズクリニック 下岡武史 先生 小児科 ぜんそく 感染症 ノロウイルス ロタウイルス O157 複雑型熱性けいれん 腸重積 精巣捻転症 乳児湿疹 髄膜炎 保湿剤 赤ちゃん 熱冷まし 虫垂炎 ♯8000 川崎病 腹膜炎 リウマチ 広島 安佐南区 緑井 ゆめビル フジグラン
病気でしんどいお子さんを医療と愛情で支えてくれる、下岡先生は子どもたちの人気者
 
子どもって病院が閉まっている夜に限って、高い熱を出したり、急にお腹が痛くなったり。すぐに救急病院に連れて行った方がいいの? 今夜は様子を見て明日、クリニックを受診するのでは遅い? 新米ママさん、パパさんは子どもの辛そうな様子を見て、不安でいっぱいになります。
今回のレポートは、安佐南区緑井にある「にこにこキッズクリニック」の下岡武史院長に、子どもの様々な症状について、どのように対処すべきかアドバイスを頂きました。
もちろん腹痛ひとつとっても、心配のいらないものから怖い病気のサインまで一概には言えませんが、知識として知っておくことで、お子さんの症状を落ち着いて観察できるのではないでしょうか?
小児専門の総合病院勤務時代は、難しい病気と闘う子どもたちのために尽力され、現在はその経験をクリニック診療で生かしながら、地域の子どもたちの健康をサポートする下岡先生。レポートからは小児医療に対する熱意が伝わってきます。

子どもはどうして熱を出しやすいのですか?

お子さんが熱を出すと親御さんは心配ですが、発熱と言うのは基本的に救急の病気でないことがほとんどです。発熱の原因は、体の中に入ってきたウイルスやばい菌などの病原体に対して、白血球などの免疫を担当する細胞が戦っているために起こるものです。
それともう一つ、熱を出すことでウイルスの増殖を抑える働きもあります。ウイルスは熱に弱いため、ウイルスの侵入を察知した脳の体温中枢が熱を出す指令を出し、ウイルスが増えにくい環境を作るのです。
風邪などの感染症にかかることで熱が出ますが、発熱自体は生理的な現象であって、「熱=何かの病気」というわけではありません。発熱に伴って他に心配な症状がなく、意識がしっかりしている、乳幼児でしたらミルクをしっかり飲める、というような場合は、夜間に慌てて救急にかけつけなくても、翌日かかりつけの小児科を受診していいと思います。
 

子どもの熱が上がったり下がったりするのはなぜですか?

熱が上がったり下がったりを繰り返すのは、感染症の熱ではよく見られます。ばい菌やウイルスが出し切れていなくて、体の中では免疫が頑張っている最中なんですね。
逆に熱さましをしようが何をしようが、ずっと熱が上がり続け、それが4日、5日続くようでしたら、川崎病やリウマチといった普通の感染症とは違う病気の疑いがあります。ポイントとしては、3日以上熱が続くようであれば、ご自宅で様子を見るのではなくて、一度医療機関を受診した方がいいですね。

他に心配な発熱はありますか?

3か月未満の乳児の発熱に対しては注意が必要です。
赤ちゃんは生まれてから生後3か月頃までの間は、胎内でお母さんからもらった免疫によって守られているので、基本的には風邪を引かないし、高熱が出ることはありません。従って、3か月未満の乳児の発熱は、お母さんが今まで経験したことのない病気、たとえば未知のウイルス(新型インフルエンザなど)が原因であることを考慮する必要があります。また、それ以上の月齢のお子さんに比べ、細菌性髄膜炎などの重篤な病気が隠れていることもあり、適切な治療を打たなければ脳に障害を残してしまう危険もありますので、できるかぎりはやく医療機関を受診するようにして下さい。

解熱剤(熱冷まし)はどのタイミングで使うのが良いですか?

体内に侵入したばい菌やウイルスを退治し、増殖させないために発熱が起こることを考えると、解熱剤を使うことはウイルスや病原菌を増やしてしまうリスクがあり、先生によっては解熱剤を一切出さないという方もいらっしゃいます。ただ、熱が続くとお子さんも看病する親御さんも辛いですし、上手に使えば解熱剤は有効なホームケアだと言えます。
お子さんに出す解熱剤というのは、それほど強い効果はありません。薬が効き始めるのは1時間ほど経ってからで、一気に熱が下がるのではなく、せいぜい40度が39度に、39度が38度になる程度。薬の持続時間も3、4時間ほどで、時間が経てばまた熱が出てくることが多いです。
そこでお母さんへのアドバイスとしては、お子さんが熱でぐったりしていて思うように食事や水分が摂取できない場合は、食事の1時間前に解熱剤を使うようにしてくださいとお伝えしています。そうすると、ちょうど食事の時間に熱が下がって体が楽になり、食欲が出てきます。また寝る前に解熱剤を使い、夜中ぐっすり睡眠をとらせてあげるのもいいでしょう。
朝起きて熱が高いからと慌てて解熱剤を使うのではなくて、タイミングを見て上手に解熱剤を使って頂ければと思います。

熱性けいれんについて教えて下さい。

熱に伴い、けいれんを起こすお子さんもいらっしゃいます。熱性けいれんを何度か経験されている親御さんでしたら、2、3分で発作がおさまるのはご存じでしょうが、初めて発作をみたお母さんは我が子が目の前でけいれんしている姿をみて本当に驚かれると思います。
お子さんが熱性けいれんを起こした時はまずは落ち着いて、けいれんの持続時間とどんなけいれんなのかを観察してください。5分以内でけいれんがおさまって、その後は意識もしっかりしているようであれば慌てなくても大丈夫でしょう。注意してもらいたいのが次のような場合です。
けいれんが10分以上続く、意識がぐったりしている場合は、「複雑型熱性けいれん」といって急性脳炎や急性脳症などの疑いもありますので、早期に救急診療所で診てもらう必要があります。
あと、単純型の熱性けいれんの発作は、多くの場合両手と両足が左右対称にけいれんしますが、片側(左半身だけまたは右半身だけ)のみがけいれんしている場合は、てんかんや脳内の出血などの障害が起きていることが考えられます。また、けいれんの時間が短くても、意識が普段通りでなく(ぼーっとしていたり)、けいれんが再発して、1日に複数回のけいれんがみられる場合は、見た目はけいれんをしていなくても実は脳の中では異常が起きている可能性があり、脳炎、脳症を疑うポイントになります。

 ●10分以上けいれんが続く
 ●意識障害がある
 ●左右非対称に起きる
 ●1日に複数回起きる

こんな場合はすぐに救急車を呼んで、医療機関を受診してください。
けいれんが起きた時に子どもが舌を噛まないようにと、口のなかに指を突っ込んだり、タオルをくわえさせるのは絶対にやめて下さいね。舌を噛むことはほとんどありませんし、むしろ窒息してしまう危険が高いです。

子どもの腹痛には怖い病気もあると聞きますが。

腹痛は放置しておくと危ない病気も結構あって、実は小児科医もドキドキしながら診る症状なんです。大半は便秘か、ノロウイルスやロタウイルスなどの胃腸炎で下痢と腹痛を伴うものが多いですが、中にはO157をはじめとした腸管出血性大腸菌による感染症であったり、虫垂炎から腹膜炎を併発していることもあります。
3歳ぐらいまでの小さなお子さんに発症しやすいのが腸重積です。これは腸と腸が重なってしまう病気で、できるだけ早く腸を元の状態に戻してあげる処置が必要です。あと、精巣捻転症 (せいそうねんてんしょう)といって、おちんちんの玉の途中に流れている血管がねじ曲がってしまう男の子の病気があるのですが、これも6時間以内に折れ曲がっている部分を治してあげないと精巣の機能が低下する恐れがあります。痛みは陰嚢部分で起こりますが、「お腹が痛い」と訴えるお子さんも多いです。
腹痛が起こる病気の中には緊急を要するものもありますから、原因の分からない腹痛は安易に様子を見ずに早めに受診した方がいいですね。

頭痛はどのように対処すればいいでしょうか?

頭痛に随伴性の症状があるかないかで、急いで受診する必要があるかどうかが変わってきます。
子どもの頭痛で怖いのは髄膜炎ですね。髄膜とは脳と脊髄を保護するクッションのような膜のことですが、その髄膜がウイルスやばい菌などに感染して炎症を生じた状態が髄膜炎です。主な症状は頭痛、嘔吐、発熱で、非常にぐったりしてしまい、水分も取れないようになってしまいます。頭痛のほかに、嘔吐を繰り返す、めまい、意識障害、けいれん、物が重なって見えるなどの異常がある場合は早めに医療機関を受診して下さい。

咳が出ると「ぜんそくかもしれない?」と心配してしまいます。

咳が出てくる時間帯が一つの目安になります。
夜寝る前や朝起きた時に出る場合は、風邪や感染症によるものがほとんどです。風邪を引くと鼻水が喉に流れて気管を刺激するため防衛反応として咳が出るのですが、横になると鼻水が喉に流れ落ちやすく、喉に鼻水が溜まって息苦しくなり咳が出ます。
一方、明け方や2時、3時に咳が出るのは、ぜんそくの子に多いです。ぜんそくとは空気の通り道である気管のさらに枝分かれした気管支が炎症を起こしており、空気の通りが悪くなっている状態で、そこを広げようとして咳が起こります。また、炎症が起こっている気管支は敏感で、ちょっとした刺激にも過敏に反応して咳を誘発します。
その要因となるものが、ハウスダスト、ダニの死骸、化学物質、PM2.5や黄砂など多岐にわたりますが、気温の変化も大きな要因となります。季節の変わり目はぜんそくの発作が起こりやすいですし、1日でみると夜中の2時3時が最も気温が下がり、乾燥し、喉が刺激を受けやすい時間帯なので、咳が出やすくなります。
ぜんそくの診断は胸の音を聞かせてもらって、それまでの症状の経過を見て医師が判断するところですが、咳が出る時間帯も診断の助けになります。医療機関を受診する際はそういった点も診療の際にお伝え頂ければと思います。
 

赤ちゃんの湿疹にはどんなケアをすると良いですか?

よく「赤ちゃんのようなスベスベの肌」と表現しますが、赤ちゃんの肌の水分は大人と比べて1/3ほど。外部からの刺激を防ぐ角質層も薄く、バリア機能が十分ではありません。ドライスキンの状態で刺激を受け続けると、アトピーに移行することもありますので、それを未然に防ぐためにも赤ちゃんのスキンケアは大事です。
ポイントとなるのが、「肌を清潔にすること」「保湿剤をしっかり塗ってあげること」。
口の周りや首が赤くなっている場合は、まずはよだれかけを外してみてください。よだれかけには唾液に含まれた雑菌がいっぱいで、それをずっと皮膚に触れさせている状態というのは良くありません。
入浴では、しっかり洗うと言うより、肌に石鹸が残らないようにしっかりすすいで下さいね。皮脂を余分に取り過ぎてしまうといけないので界面活性剤の多いボディソープなどは避けて、普通の石鹸を使って頂いてかまいません。少量の石鹸をしっかり泡立てて、ゴシゴシこすらずにていねいにやさしく洗ってあげて下さい。
お風呂上りは肌の水分が一気に逃げてしまうので、時間をあけずに保湿剤をたっぷり塗ってあげて下さい。この、「たっぷり」というのがポイントです。皮膚の表面はでこぼこしているので、少量だと塗れていないところが出てしまい、そこから水分が蒸発してしまって効果が薄れてしまいます。
目安としては、塗ったところと塗っていないところとの境界線がはっきり分かるくらいに。1日に何度か塗ってあげると効果は高まりますが、前に塗った保湿剤をぬぐってから塗るようにして下さいね。
生まれて3、4か月までの大半は乳児湿疹ですが、それ以降も湿疹が続くようでしたら肌の状態がよろしくないのかもしれません。将来アトピーにならないためにも保湿剤をしっかり塗って、強い皮膚を作っていくことが大切です。
 
子どもの発熱・腹痛・頭痛・咳・湿疹の対処法をアドバイス。熱性けいれんの適切な対応や上手な解熱剤の使い方や夜間に症状が出た場合のお助けツールまで。怖い病気を早期発見するためには、お父さんお母さんの「気づき」がポイントに。 にこにこキッズクリニック 下岡武史 先生 小児科 ぜんそく 感染症 ノロウイルス ロタウイルス O157 複雑型熱性けいれん 腸重積 精巣捻転症 乳児湿疹 髄膜炎 保湿剤 赤ちゃん 熱冷まし 虫垂炎 ♯8000 川崎病 腹膜炎 リウマチ 広島 安佐南区 緑井 ゆめビル フジグラン
思わず笑顔がこぼれる可愛い院内。緑井駅のすぐそばで、付近には天満屋とフジグランがある
 

夜間に症状が出てしまった時のアドバイスをお願いします。

子どもは夜になって病院が閉まってから、熱が出たり、お腹が痛くなったり、頭痛が起こるものですよね。ほとんどが翌日にかかりつけの小児科を受診すれば問題ないケースなのですが、なかには怖い病気もあるので判断が難しいところです。
もし夜間にお子さんの調子が悪くなって、どうしたら良いか分からない時は、「♯8000」を利用するのも一つの手だと思います。これは小児救急電話相談で、担当の看護師が症状に応じて適切なホームケアの仕方や電話をした時間帯で受診が可能な医療機関のアドバイスをしてくれるものです。広島県でしたら、毎日19:00〜翌朝8:00までご利用できます。

(補足)#8000は昨年春から看護師のみが応対することに変更されています。

重篤な病気の早期発見で大切なことは何ですか?

お子さんの「元気がない」という症状は、病気を見つける大切なサインです。普段の元気な姿を見ているお父さん、お母さんが「いつもと違う」と感じる、その気づきがその子の体の中に隠れた病気を見つけるポイントにもなります。特に赤ちゃんは「お腹が痛い」「頭が痛い」と言葉で訴えることができません。何となく元気がなくて、しんどそうに見える。「おかしいな?」とお母さんが思っていたところ、翌日になって熱が出始めて髄膜炎だったということも実際にありました。
診察の際、僕はまずその子の見た目の元気さを確認します。プレイルームで遊んでいる様子、診察室に入ってきた時の表情、ギャーギャー泣いてくれるとかですね。泣かずにぐったりしていたら、何か病気が隠れていないかを疑いますね。風邪だと思って受診した診療所で、大きな病気が発見されることもありますから、診療一回一回が真剣勝負です。
その子を何年も診察しているかかりつけの先生だと、「これはいつもとは違う」と感じとって、重篤な病気の早期発見につながることもありますので、信頼できるかかりつけの小児科をもつことは子どもの健やかな成長のために大切なことです。

最後に下岡先生の小児科医としての思いをお聞かせください。

子どもの病気は多種多様で、珍しい病気もたくさんあります。幅広い小児疾患を集中的に学びたくて、兵庫県立こども病院という小児専門の総合病院で勤務し、昔からの夢だったクリニックを安佐南区の緑井で開業しました。
かかりつけの小児科医の役目は、隠れた病気を見逃すことがないようしっかり診ること、そして軽い病気を軽い症状で軽いうちに治してあげることだと思っています。総合病院での経験を生かし、健康管理から病気の治療までその子の成長を見守りながら、地域に根付いたクリニックにしていきたいと考えています。


医師のプロフィール

下岡武史先生

●広島大学医学部医学科卒業
●中国労災病院 初期臨床研修医
●兵庫県立こども病院 小児内科専攻医(総合診療科・血液腫瘍科・新生児科)
●兵庫県立こども病院 循環器科
●兵庫県立こども病院 腎臓内科・救急医療センター
●兵庫県立こども病院 腎臓内科シニアレジデント
●広島市立安佐市民病院小児科

‐資格・所属学会‐
・日本小児科学会認定 小児科専門医
・日本小児科学会
・日本腎臓学会
・日本アレルギー学会
・日本小児アレルギー学会
・日本小児腎臓病学会
・日本小児循環器学会
・日本夜尿症学会
・近畿川崎病研究会

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