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少しずつ病原体の型を変えながら、毎年冬に大流行の兆しを見せるインフルエンザ。罹った際の対処方法をはじめ、予防のためにできることや重症化しないための手立てについて教えていただきました。|風呂中内科|風呂中 誠先生|病気や症状。治療や予防に役立つ 病院・医院・クリニック情報サイト『広島ドクターズ』
(この記事は2015年12月21日時点の情報です)

風呂中 誠先生(内科)

毎年冬になると猛威を振るうインフルエンザとは

 
風呂中内科
【住所】広島県広島市中区紙屋町1-4-19  
【TEL】 082-247-3002 
空気の乾燥が厳しい冬に猛威をふるうインフルエンザ。風邪のウイルスとの違って恐ろしいのはその感染力です。予防する方法や、感染した際の重症化を防ぐワクチン接種の効果とは?|風呂中内科|風呂中 誠先生
ときどき冗談を交えながら、にこやかに説明してくださる風呂中院長。
 
空気が乾燥する冬の季節に大流行することが多いインフルエンザ。全身の倦怠感や突然の発熱などの症状をはじめ、乳幼児や高齢者がかかると特に重症化することも多い病気です。毎年12月〜3月ぐらいの間に大流行することが多いので、重症化させないためにできる限りの予防策と、かかった場合の対処方法などもきちんと知っておくと安心ですよね。
今回は広島市中区紙屋町にある風呂中内科の院長、風呂中 誠院長に、インフルエンザと風邪の違いといった基本事項から、インフルエンザの症状、予防のための手立て、ワクチンの効果まで詳しく教えていただきました。周囲への感染を防ぐために何日間患者の隔離が必要なのかまで丸わかり。これを読めば、この冬はインフルエンザ知らずで過ごせるかもしれません!

インフルエンザは普通の風邪とどう違うのですか?何が恐ろしいのですか?

普通の風邪もインフルエンザもウイルスに感染し発症します。いずれも主な感染経路としては、飛沫感染、接触感染ですが、大きな違いはその感染力でしょう。
普通の風邪の場合、同居していても少し気を付ければ感染を防ぐことができますが、インフルエンザの場合はそうはいきません。非常に感染力が強いので、家族に感染者が出たら患者を別室で過ごさせるなど隔離することが望ましいです。
学校でも同じです。もしクラスの誰かが感染すると、それがあっという間にクラス全体に広がり、大流行します。誰かが鼻水をたらして、それを手で拭いて何かを触り、それがまた他の人の手について、その手で目をこすったら、鼻をいじったら粘膜感染を起こします。

インフルエンザの症状はどのようなものですか?

急激な38度を超える発熱や、筋肉痛、関節痛などの全身症状が現れます。体力がある人ならその症状が3〜7日続いた後で治癒しますが、気管支炎や肺炎、脳炎、心筋炎などを併発することもありますので、風邪とは区別しなければいけません。
一方、風邪はのどの痛みや鼻水、咳など呼吸器系の症状が一般的です。

新型インフルエンザってなんですか?

通常は少しだけ異なる病原体をもつインフルエンザウイルスが世界的に流行しますが、時々、病原体が大きく異なるインフルエンザウイルスが出現することがあります。免疫を持つ人が少ないことで広い範囲に急速に蔓延し、社会および経済活動にまで支障をきたす可能性があるものを指し、これが新型のインフルエンザと呼ばれています。
最近の例でいうと、2009年に発生したH1N1です。インフルエンザに効果があるとされたヨーグルトなどが爆発的に売れたのは記憶に新しい事でしょう。その後に多くの人が免疫を獲得したことで、通常のインフルエンザと同じように流行を繰り返すようになり、今では新型と認識されなくなっています。
この新型インフルエンザですが、実は年配の方には感染しにくかった傾向もあり、新型とは言いながらも、実は以前にも存在していたウイルスだったのではないか、という説もあります。
また次の新型インフルエンザが出現する可能性はありますが、それがどんな型で、いつ頃なのかは誰にもわかりません。

感染したかもと思ったら、まずすべきことはなんですか?

インフルエンザが流行する時期(日本では例年12月〜3月頃)に、ある日突然、発熱や関節痛、悪寒などの症状がでた場合、インフルエンザに罹病した可能性が高いと考えられます。まずはかかりつけの医院を受診しましょう。
診断には、インフルエンザの迅速検査キットがあります。ただし発病後1日以内ならインフルエンザであるのに検査では陰性となる可能性があります。これは、インフルエンザウイルスが、鼻の粘膜である程度増殖しないと迅速検査では陽性とならないためです。
治療としては、抗インフルエンザ薬がありますが、発症から48時間以内に薬を服用しないと十分な効果が期待できません。

ということは、急がないといけませんね。

効果的に薬を服用しようと思ったら、発症より48時間以内に病院に受診する必要があります。
ただ現実的には、突然の高熱で夜間救急を受診し、インフルエンザの検査をしても、前述したとおり陰性のこともあります。つまり、まだ体内でウイルスが増殖していない時期ではインフルエンザの診断が困難となります。その場合、不確定要素はありますが臨床上、陰性であっても抗インフルエンザ薬を処方する場合もあります。
ですから、薬は限られた時間内に服用開始しなければいけないのですが、早い受診ほど良い、とも言い切れません。発症後の受診は急いだ方が良いのですけれども、急ぎ過ぎる必要はないわけです。夜中などの発熱の場合、全身状態が良ければ、解熱剤(アセトアミノフェン系)を服用し翌日の病院への受診でもいいと思います。ただ通常のインフルエンザ感染では、発熱期間は7日程度であり、治療しなくても1週間程度で治癒します。抗インフルエンザ薬は、発熱期間を1日程度短縮する効果はあります。そのため、発熱により衰弱しがちな高齢者、免疫不全などの方は、早めの治療が望ましいと考えます。

空気の乾燥が厳しい冬に猛威をふるうインフルエンザ。風邪のウイルスとの違って恐ろしいのはその感染力です。予防する方法や、感染した際の重症化を防ぐワクチン接種の効果とは?|風呂中内科|風呂中 誠先生
同じく医師だった父親が昭和23年に開院。その後を継いで2015年4月に院長に就任されました
 

タミフルやリレンザなど、いくつかある薬の使い分けはどうされているのですか?

リレンザなどの吸入剤の場合、気管支喘息を誘発することがあるようなので、過去に既往のある方や呼吸器疾患のある方は十分に気を付けなければいけません。
今は内服薬としてタミフル(5日間)、吸入剤としてリレンザ(5日間)、イナビル(1回)、点滴剤としてラピアクタ(1回)など効果的な薬がいろいろ使用されています。ある報告では、9歳以下ではタミフル、10歳代ではイナビルやリレンザ、20〜59歳ではイナビルやタミフル、60歳以上ではイナビル、タミフル、ラピアクタが使用される傾向が高かったようです。これは、1〜4歳では吸入剤の使用が困難であること、10歳代ではタミフルの使用が困難であるため、リレンザやイナビルが好まれたこと。また20歳以上では、内服のタミフル、1回で済むイナビルが好まれたためだと推測されます。

インフルエンザによる異常行動が一時報道されましたが?

インフルエンザに感染することで軽い脳症を発症し、急に走り出したり、徘徊したりする異常行動を起こすケースが報告されています。当初はタミフルが原因かと言われたのですが、その後の厚生労働省の見解では、薬の影響だけとは断定できないとされています。
今は10歳以上の未成年者が服用する場合には、本剤の使用を差し控えるように指導されています。
また、発症から2日間は小児や13歳以上の未成年者が一人きりにならないように気を付ける必要があります。

ワクチンにはどのような効果がありますか? 何回注射が必要なのですか。

人間の体は、一度感染したウイルスに対して体の中に抗体を作ります。この免疫によって、肺炎や脳症など命に関わるような重い合併症の発症を予防し、インフルエンザが重症化するのを予防してくれるのです。
13歳未満なら2回、13歳以上なら1回のワクチン接種が必要で、接種2週間後より5カ月程度まで予防効果があると言われています。また通常は生後6カ月以降なら乳児にも接種できるといわれています。
毎年型が変わるので、去年かかっても今年も感染する可能性があります。ワクチンを接種しておくことで体はすでに臨戦態勢に入るため、症状の重篤化を防ぐことができます。また、集団で接種すれば、大流行を防ぐ効果もあるわけです。

ワクチンはどうやって作られるのですか?

鶏卵の中でウイルスを複数回増殖させて作ります。化学的な処理をして感染性と病原性をなくした、不活化ワクチンです。

ワクチンの型は流行が予想されるウイルスに合わせて製造されるそうですが?

インフルエンザワクチンの元になるウイルス(ワクチン株)は国内外のインフルエンザ情報を元に流行を予測して決められています。毎年WHOが推奨するワクチン株を発表するのですが、国内外の流行分析を行いつつ、国立感染症研究所などが日本のインフルエンザワクチン株を決めています。

インフルエンザワクチンの副反応についてはどのように考えたらよいのでしょう。

接種した場所に赤みやはれ、痛みなどの症状が現れる方や発熱、頭痛などの症状が出る方もいますが、これは数日もすれば治まります。
また、ワクチンに対するアレルギー反応、アナフィラキシーショックを起こす可能性がまれにあります。
品質検査を徹底し、副反応に関わる成分を分離していますので、以前に比べるとアレルギー反応を起こす可能性は減っています。ただし、過去に予防接種でショック、アナフィラキシーを起こしたことがある方、また重度の卵アレルギーがある方は予防接種を控えたほうがいいでしょう。

インフルエンザに感染しないため、予防方法をアドバイスください。

通常の風邪予防とも同じなのですが、やはり手洗い、うがい、マスクなどのエチケットは必須ですね。人ごみを避けるのも重要です。
それと部屋の加湿。空気が乾燥すると、のどの粘膜の防御機能が低下し、インフルエンザにかかりやすくなります。また加湿することでウイルスの飛散も防ぐことができます。その他には、疲労やストレスを溜めて免疫力を下げないようにすることも大切でしょう。

感染後、何日ぐらい外出を控える必要があるのでしょうか?

一般的には、発症前日から発症後3〜5日間は鼻やのどからウイルスを排出すると言われています。ですからこのウイルス排出期間中は外出を控える必要があります。
また、現在は学校保健安全法によって、「発症した後5日を経過し、かつ解熱した後2日(幼児にあっては3日)を経過するまで」がインフルエンザによる出席停止期間となっています。

地域医療に対する先生のお考えや、今後の展望を教えてください。

広島大学病院や中国労災病院の呼吸器内科で勤務した後、2015年4月から父の後を受け継いでこのクリニックの院長になりました。
今までは、呼吸器内科医として主に呼吸器疾患の診療に従事してきましたが、これからは「かかりつけ医」として、みなさんの健康状態、体の気になる点などを気軽に相談していただき、それに対し適切にアドバイス、治療をしていきたいと考えています。また当院で対応困難な疾患の場合でも、責任をもって対応可能な病院に紹介するなど臨機応変に診療していきたいと思います。

医師のプロフィール

風呂中 誠先生

●日本大学医学部医学科卒業
●広島大学大学院医歯薬総合研究科大学院卒業
●呉医療センター 内科研修医
●広島市民病院 呼吸器内科レジデント
●因島市医師会病院 内科医員
●広島大学病院 呼吸器内科医科診療医
●中国労災病院 内科医長(呼吸器内科科長)
●風呂中内科を継承し、現院長

−所属学会−
・医学博士
・日本内科学会 認定内科医
・日本呼吸器学会 専門医
・がん診療に携わる医師に対する緩和ケア研修会修了
・臨床研修指導医講習会修了
・身体障害者福祉法指定医(呼吸器)

 


 
 

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